Identity 2022 sessions: Japanese translation

  • Posted by Valbona Gjini
  • On Feb 02, 2022

IDの活用:パブリッシャーは今、どのようにクッキーレス対応を進めているのか?- Pianoと欧州メディアの事例 –

今回は1月に開催したオンラインイベントIdentity 2022より、Pianoによるセッション「パブリッシャーは今、どのようにクッキーレス対応を進めているのか?(ID in Action: How Publishers Are Implementing Cookie Alternatives with Piano)」の内容を紹介します。

このセッションでは、PianoのChief Growth Officerジョアンナ・カタラーノが、北欧でパブリッシャー収益化サービスを提供するRelevant Digitalのオッリ・ヤルヴィレト、ベルギーのメディアグループIPM Groupのオリヴィエ・エブラードとともに、従来型のIDが消滅していく中、パブリッシャーが代替IDソリューションをどのように導入しているのかについて話し合いました。

それではどのような内容だったのか見ていきましょう:

  • まず、米Digidayが昨年末に発表した調査結果データから、複数のクッキーレス移行手段に対する、パブリッシャーのQ1からQ4にかけての優先度の変化や態度変容についての紹介がなされました。それによると、「ファーストパーティーデータの活用」や「収益源をよりサブスクリプションに寄せていくこと」についてのパブリッシャーの関心や優先度は非常に高く、Q1→Q4を通じても優先度にはほぼ変化がありませんでした。

    また、Q1と比較しQ4でより関心が高まっていたのは「ファーストパーティセグメントをDSPに実装する」という手段で、そう思う回答者の割合は33%→44%に増加しました。

    逆に、Q4にかけてパブリッシャーの関心が低下したのは 「サイトでのユーザー登録(メールアドレス登録)の要求」(41%→33%)と「代替IDの使用」(46%→22%)でした。この結果にはゲストスピーカー達も少々驚いており、「サイトでのユーザー登録要求は感覚的には全体としてかなり増えているものの、ユーザーからの反発があったから下がったのではないか」と推測しています。また、クッキーに代わる代替ID(ユニバーサルID)の利活用に対する関心が低下していたことも驚きでしたが、これにはサードパーティクッキーの廃止までに時間的猶予があることも関係しているのかもしれません。

    いずれにせよ、クッキーレス対応の必要性自体は認知されてきており、代替IDを積極的にテストし良い結果を得ているパブリッシャーは少なくないこと、SafariやFirefoxなどのすでにサードパーティクッキーが使えないブラウザは、代替IDの有効性を分析するための理想的なテストの場であることなどがRelevant Digitalのヤルヴィレト氏によって説明されました。さらに、同社は今後代替IDに基づくデータのアクティベーションも行っていくつもりであると述べました。

    一方で、IPMメディアのエブラード氏は、UID2.0のようなメールアドレスを元に生成される識別子については、規制の厳しいEUでは誰も責任を取りたくないためにまだ導入されていないこと、今後市場がそれをどのような形で受け入れ、どのようにスケールしていくのかを見守っている状態であることにも言及しました。
  • 昨年の注力領域に関して、現在パブリッシャー向けにPrebidソリューションを提供しているRelevant Digitalでは、サードパーティクッキーが使えなくなった場合SSPではサイトにクッキーを発行できなくなり、ひいてはあらゆるソリューションがクライアントサイドからサーバーサイドでの実行に移行していくであろうことを見越して、サーバーサイドのPrebid環境で代替IDを使えるようにするなどの機能投資に注力していたと明かしました。
  • パブリッシャーにとって、クッキーレス環境での広告計測手法がどのように変わってしまうのかも大きな懸念のひとつですが、サプライサイドを代表する両スピーカーは、計測ソリューションのバイサイドでの適用をもっと働きかけていくことが重要であると述べました。
  • 最後に、デジタルメディアにとって2022年最大の優先事項はクッキーレス対応の準備とテストの実施であることが挙げられます。そして時間的猶予がどうであれ、できる準備を今から行い、今後施行されていくプライバシー規制やポリシーを正しく解釈することに努め、それに基づいたマーケティング基盤を構築していくことが重要であるとまとめられました。

Identity 2022のセッションの様子は以下からご覧いただけます。
(ID5について日本語でのお問い合わせはこちらまで。)

Smart AdServerと見る、オーディエンス・アドレサビリティの未来

ID5が1月にオンライン開催した年次イベント、Identity 2022の最初のセッションとなった「オーディエンス・アドレサビリティの未来: Smart AdServerによるクッキーレス移行の動向」の内容を紹介します

このオープニングセッションでは、Smart社のデマンドサイドプロダクトマーケティングリードであるMarine Desoutterが、同社が定期的に発行しているグローバルでのID利用状況調査レポート「Identity Indicator」第3弾の内容から、とりわけ重要なポイントについていくつか紹介しました。本レポートでは、GDPRの同意取得率から代替IDの使用状況まで、主要8市場でのIDソリューションにまつわるトレンドを紹介しています。

では、どのような内容が取り上げられたのか見ていきましょう:

まず、近年のサードパーティCookie廃止に向けた各国、各社の動きなどを時系列で振り返りました。法律面では2018年にGDPR、2021年にCCPAがそれぞれ施行され、SafariやFireFoxが相次いでサードパーティCookieをブロック、昨年にはAppleがiOS14でIDFAをオプトイン方式に制限するなど、サードパーティCookie終了へのカウントダウンは始まっており、2023年にはChromeもサードパーティCookieをブロックすることを既に宣言しています。

そのような中で、各国の広告在庫において既にサードパーティCookieを制限しているブラウザ(SafariやFirefox)のシェアについての調査結果が報告されました。デスクトップではドイツ、フランス、スペインでこれらブラウザのシェアが非常に大きく、モバイルでは、ドイツ、米国、英国、スペインで同様にシェアが大きいことが分かりました。

次に、ユーザーIDを持たない(= Cookie、モバイル広告識別子、その他のユーザーIDが入札リクエストに送信されていないものを指す。但し代替IDソリューションを除く。)広告在庫の割合についての調査結果が発表されました。現在ユーザーIDを持たない広告在庫が最も多いのはドイツ、米国、英国であることが分かりました。これらの国では、在庫の半数以上で入札リクエストにユーザーIDが付与されていないことが分かりました。

一方、代替IDソリューションを使用する広告在庫のシェアが大きく伸びていることも分かりました。ドイツ、米国、メキシコ、英国では、既に在庫の半分以上で少なくとも1つの代替IDを入札リクエストに送っていることが分かりました。ID5 IDは、Smart社が調査を行った8各国のうち、ドイツを除く7カ国(米、英、仏、伊、西、メキシコ、ブラジル)で最も使用されている代替IDのひとつとして挙げられています。その他によく使われる代替IDとして挙げられているのはPrebidのShared ID、The Trade DeskのUnified ID2.0、Criteoなどでした。

最後に、2022年の展望についてMarineは次のようにまとめました。①コンテクスチュアルターゲティングはキャンペーンターゲティングのニューノーマルとなりつつあります。②モバイル広告予算は今後もAndroidにより大幅に移行していくことが予測されます。③ユーザー同意情報の付与されていないトラフィックは増え続け、このようなトラフィックをどのように効果的にマネタイズしていくかがパブリッシャーの命題となるでしょう。④バイヤー側ではクッキーレスでのバイイング戦略がますます重要視されるようになり、現在複数存在している代替IDソリューションも、それぞれのもたらすROIがよりシビアに見られるようになることでしょう。

Smart Adserverによるレポート全文(英語)のダウンロードはこちらから、Identity 2022のセッションの様子は以下からご覧いただけます。(ID5について日本語でのお問い合わせはこちらまで。)